韓国の囲碁棋士、李セドル氏がコンピュータに負けて話題になりました。
チェスや将棋と比べても戦い方のルールが複雑な囲碁では、コンピュータが人間に勝つのにあと数年はかかるだろうと言われていたのですが、コンピュータの成長は早く、今回、プロの棋士にも説明できないような圧倒的な力で人間をねじ伏せました。
これで分かったことは、ルールがある世界では、人間はもはやコンピュータに勝てなくなったということです。
人間にはありふれた負けの歴史
そもそも人間は、いろいろな能力で負けています。
走る速さでは馬に負け、機関車に負け、自動車に負け、飛行機に負けます。
力では、てこの原理に負け、フォークリフトに負けます。
これは、肉体的に負けていた人間が、さらにルールの中で何かを考えるという頭脳的な勝負でも負けるようになったということに過ぎないわけで、人類の歴史のひとつのマイルストンではありますが、かつて何度も通った道でもあるわけです。
また、何かに負けるたびに、その仕事に従事している人は職を奪われます。
例えば、馬よりも速く走れる自動車が開発されたことにより、馬を速く走らせる能力は、エンタテインメント以外に需要がほとんどなくなり、多くの騎手が失業しました。
これと同じように、機械によって仕事を奪われる人は増えていくでしょう。
実際、ワープロとプリンタの出現によって清書を仕事とする人はほぼ不要になっていますし、電卓や表計算ソフトによって暗算が得意な人の需要はほとんどなくなっています。