「労働者の収入によって生計を維持する者」の場合も想定
ただし、たとえば、奥様の収入も十分にあって夫婦で家計を別にしているような場合ならば、奥様はご相談者の「収入によって生計を維持する者」にはあたらないので、ご相談者は給料の非常時払いを利用できません。この場合は、奥様自身が勤務先に対して給料の非常時払いを請求するかどうかの問題になります。
なお、給料の非常時払いは、あくまで今までにした労働の対価を支払ってもらうものであり、まだしていない労働の対価をもらうものではありません。ですので、2か月、3か月分の給料を先に支払ってもらうような制度ではありません。それは給料の前借りです。
また、自分の配偶者だけでなく、同居人であっても、自分の収入で生活している人ならば、給料の非常時払いの対象になります。自分の収入で生活している人かどうかが問題なので、親族に限らないということですね。
あまり知られていない、「給料の非常時払い」。解説してきた様に、出産や病気の際も使える事を、是非覚えておいてください。無事に出産されることをお祈りします。
ポイント2点
●非常時には、「給料非常時払い」という制度を利用することができる。給料の前借りをするのではなく、これまでに働いた分を、予定の支払い日より前に受け取れるように請求することができる。
●本人だけでなく、「労働者の収入によって生計を維持する者」が出産などした場合にも制度を利用できる。