「クラウドワーク」を活かせない日本 「国内完結」の矛盾

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「月20万円」でも双方にメリット

   ですから、発注主としては、国内で低賃金で受ける人がもっとたくさん出てこないと、この仕組みを使う意義がないし、この仕組が有用になるには、月に20万円どころじゃなくて、月に5万くらいでフルフルに働いてくれる層が国内に出現しないと困るわけです。

   発注側もクラウドワーカーの月収が50万円とか、100万円になってしまったら、そもそも、サイトを使って、そんな単価の高い人に発注する意味がなくなります。

   この構造ではlose-loseです。

   20万円という数字自体は、おかしくない単価です。単に20万円では日本に住んでいるワーカーは暮らせないだけで、20万円という絶対値自体は、おかしくありません。

   もし平均的な労働者の月収が数万円の国のひとが、月に20万円稼ぐことができたら、すごくリッチになれるはずです。

   つまりクラウドワークとは、賃金の国際的な収斂現象といえましょう。

   途上国の買い叩かれていたワーカーは、先進国からよい値段で受注出来る。先進国のボッタクられていた発注主は、途上国から安い値段で調達できる。

   その需給の曲線が重なるところが単価になるわけで、それが国際的には20万円以下でも何らおかしくないですし、20万円でも双方にメリットが有ります。これが自由経済です。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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