「社内給与格差」にみる 実力主義のメリットとデメリット

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何を仕事のやりがいと感じられるか

   とは言え、もとは家族主義の会社であったものが、徐々に緩和され、経営者の意識としては、少しずつ「実力主義」に傾いています。「やや」の部分は経営者によって、その内容が変化します。また、現代は家族主義を表だって標榜する企業は多くありませんので、逆に、家族主義を理解し、ポジティブに対応できる習慣をつけるのが良いでしょう。

   また、勤めている会社が長寿企業なら、多くの場合は家族主義傾向にあり、非長寿企業なら、その反対の傾向が強くなります。さらに、経営者の年齢も関係してきます。若い経営者は実力主義を標榜する傾向にあり、ベテラン経営者はふところ深く、家族主義をとっている傾向が多くなります。

   家族主義経営は、給与も、賞与も高くはないけれど、安定した収入が得られることがメリットで、実力主義経営は、社員個々人の実力が評価され、会社に活用されている間は所得も高く、役職も着いてやりがいを感じられますが、ひとたび、会社が求める力と、社員の能力がすれ違ってしまった場合は、自分で今後の会社の方針を見極めて、身の処し方を考えていかねばなりません。

   社員としては、何を仕事のやりがいと考えるか、個々人によって、人生観の違いによって変わりますので、その点をしっかり検討をする必要があるでしょう。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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