先日、女性起業家さん2人を招いたトークセッションを取材してきました。「女性社長」というと、「20代はバリバリ営業成績を上げ、新規ビジネスへの情熱をもって独立、メディアでも大活躍」のようなイメージをもたれる方もいるかもしれません。私も、なんとなく「バリキャリ系の人が来るのかな」と思っていました。
ところが、イベントに登壇した2人の社長さんは、いずれも物静かな佇まい。20代を専業主婦や会社員として過ごし、色々と模索しながら、30代以降に「小さくビジネスを始めた」といいます。
10年勤めた会社をやめて
登壇した1人の社長さん(Mさん)は、11年間、女性向け雑誌の記者をしていました。「この経験が、起業したいという思いのベースになった」といいます。女性のキャリアを取材する中で、「20代のうちはいいけれど、30代、40代と年令を重ねるにつれて、女性は『いきいき働く』ことが難しくなっていく」と実感したそう。結婚したり、出産したり、夫の転勤があったり。自分の思うとおりのキャリアパスを描くことは、簡単ではありません。モヤモヤした思いを抱えながら、「働く女性たちの力になりたい」と、会社員と平行して、キャリアカウンセラーの資格を取ったMさん。その後、独立してフリーランスのライター・キャリアカウンセラーになります。
「会社員を10年以上やっていたので、そこから飛び出すのは大変でした。でも、2011年に東日本大震災があって、人生観が変わったというか・・・どうせなら、自分がやりたいことをやって、後悔しない人生を送りたいと思ったんです」(Mさん)
確かに、10年以上も同じ会社に勤めていれば、『慣れ』も『馴れ』もあるでしょう。いきなり独立するのは、とても勇気がいると思います。それでもフリーランスの道を選んだのは、震災という経験を経て、『安定した正社員の道』よりも、『安定度は減るけれど、自分が本当にやりたいことをやろう』と思ったから・・・かもしれません。彼女はその後、「自分がやりたいこと」を色んな人に話しているうちに、今の創業メンバーと出会い、思い切って会社を起こしたそうです。