社長が言ってはイケない「あの一言」 言われた常務は...やっぱり辞めた

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社長の怒声が聞こえ・・・

   社長は電話を切ると、「失礼しました。常務のSからなのですが、どうもつまらないトラブルがあったようで今説明に向かわせているので、その折はちょっと中座をお許しください。すぐ終わると思いますので」と断りを入れました。

   その間社長は、S常務は来るべき株式上場を視野に入れて数か月前に上場IT企業からヘッドハントした大変優秀な人材であること、業務全般を統括させつつ上場準備を兼務させ実質ナンバー2の右腕として大いに期待していること、等の話をしてくれました。

   15分ほどして常務が到着し、社長と2人で隣接の社長室に入りました。残された我々が手持無沙汰で待っていると、しばらくしていきなりK社長の怒鳴り声が聞こえて来たのです。

「言うことが聞けないのなら、お前はクビだ!今すぐ出ていけ!」

   我々の耳にハッキリとそう響く怒声が聞こえ、顔を見合わせました。

「穏やかじゃないですね。長引きそうですし、秘書に断って日を改めましょうか」

   会計士は言いました。私は耳にした社長の言葉が、どう考えても自身の参謀役相手に言ってはいけない一言に思えたので、今の社長の様子をこの目と耳で確認したく「少し待ってみませんか」と提案しました。ほどなく社長室のドアが開閉する音がしました。常務が出ていったのでしょう。さらにしばらく経って、K社長が応接室に戻ってきました。

   「お待たせして、申し訳ない」。そう言った社長の顔は明らかに先ほどまでとは違う、怒りなのか後悔からなのか、かなり青ざめた表情に見えました。「思った以上に深刻なトラブルでして、続きは日を改めて頂いてもよろしいですか」と絞り出すように険しい顔つきのまま社長が言い、面談ヒアリングは終了となりました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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