経営者にも迷いがある時代 「社員と会社」の理想的関係とは
【長寿企業の素顔】

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求心力を意識した社員の立場

   戦後からバブル経済が崩壊する1990年までは、日本企業にも経済的、人的に余裕があり、当たり前のように大家族主義経営がとられてきました。その後、90年代の低成長とマイナス成長が織りなす中で、家族主義経営を放棄する企業が出てきます。家族主義の原則である年功序列と終身雇用が守れなくなったからです。

   戦後の復興を支えてきた長寿企業たちは、資産は豊富なので非長寿企業のように、すぐに人員整理へ走るのは少なかったのですが、収益性は必ずしも高くないので、家族主義から徐々に、社員を厳しく選別する実力主義へと移行しようとします。それが「実力主義」と「やや実力主義」が計45%という結果につながっているのでしょう。

   考え方では「実力主義」を求めているけれど、企業の実力的には「やや家族主義」が好成績を残しています。このように、経営者にも迷いがあるという時代。日頃のビジネススタイルは、求心力を意識した社員の立場に立つのがよいのではないでしょうか。企業にとって、求心力のコアは代表者であり、オーナー経営であるなら、オーナー家が核になります。それに対する理解を深めるということです。

 

   社史がある会社なら、読み返してみましょう。無い会社なら、我が社の歴史や業界の歴史に関係する資料や書籍について、上司や総務に尋ねてみることです。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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