2012年に上場企業の公募増資をめぐり、野村証券の複数の社員がインサイダー情報を漏らしたことを理由に同社を懲戒解雇され、うち1人の40代男性が雇用継続などを求めた訴訟で、東京地方裁判所(佐々木宗啓裁判長)は2016年2月26日、男性はインサイダーに関わっていなかったとして、解雇無効と判断。未払い賃金の支払いを命じた。
判決理由では、男性が増資に関わった別部署の社員から断片情報を聞いて推測しただけで「未公表の重要事実が男性に伝えられたとは言えない」と指摘。また、証券取引等監視委員会が男性のインサイダー関与を認定し、顧客に課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したことについて「事実誤認の可能性を否定できない」と判断した。