目から鱗の「マイナス金利」活用術 会社発展につなげる「逆転の発想」
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「会社経営にも保険は必要」

   元銀行員の私から見て、目から鱗の話でありました。需資原則に関係なく、おカネは借りられる時に借りられるだけ借りておきなさいとは、およそ銀行員にはない発想です。いや、むしろ先の知り合いの社長をはじめ大抵の経営者は、「金利がもったいない」と考えるのが普通ですから、彼らからもまず出てこない発想ではないでしょうか。

   しかし、小山社長の話が奮っていると思ったのは、その裏にあるこんな考えです。

「例えば5000万円を1.5%の貸出金利で借りたとして、支払利息は年間75万円。月々約6万円です。社長さん方、生命保険に月々おいくら払ってます?生命保険は社長の大病には役に立っても、会社の大病には役に立ちません。会社経営にも保険は必要。不要な銀行借入は、いざという時に会社を救ってくれる保険料だと思えば安いものです」

   なるほど、元銀行員の経験からすればこれはある意味ごもっともな話ではあるのです。確かに銀行は、月々貸したおカネの返済がしっかりとなされているなら、業績が下向き加減であるからという理由では、すぐに全額返しなさいとは言いません。言われてみればなるほどそこが銀行借入の良い点でもあり、それを見通したうえで万が一の保険として不要な借入を推奨している点は、なかなか鋭い視点であると言っていいでしょう。

   保険的視点だけでなく、小山社長は前向きな発想も忘れていません。

   「手元に資金があれば、いろいろ発展的なことが考えられる。おカネがなければ、そうはいかない。金利を払ってでも多くのおカネをプールし、そのおカネをいかに有効に使って会社を発展させることを考えるか、それこそが経営者のするべき仕事なのです」と。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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