あなたの「上司」は、どんな人だろうか。ツイッターでは、「嫌いな上司のためには頑張れない。私の頭から消えてくれー!」とか、「上司が体調悪い私をみて、『明日頑張って来てね』と一言。最低だよ・・・」など、上司への恨みつらみを吐き出す声が、結構見つかる。
相性もあるが、上司と部下の関係は、面倒なことも多いだろう。そんな「上司・部下システム」を「廃止」したら、どうなる? とのコラムが、ネットで話題を呼んでいる。
上下関係をなくし、自分で仕事を決めるように
話題を集めているのは、ハフィントン・ポスト日本版のコラム「社員の上下関係ない方がいい? 上司を廃止したらこうなった」(Shane Ferro、2016年2月6日)。アメリカのシリコンバレーを中心に、上司・部下関係を「廃止」した各企業が、その後「どうなったのか」をレポートしたものだ。
たとえば、靴や洋服のオンラインストア「ザッポス」では2015年、「ホラクラシー」という経営スタイルを導入。従業員の上下関係をなくし、自分で仕事を決めるようにした。「情報を上司や部下に伝える制度も無い」ので、従業員同士は、これまでより積極的にコミュニケーションを取りあい、現状を把握する必要がある。「社内の透明化のため」に導入された同制度だが、ザッポス社では制度導入後、従業員の約2割が辞職してしまったそうだ。
一方、「ホラクラシー」が成功している企業もあり、記事を書いたShane Ferro氏によれば、中小企業が多いとのこと。従業員数が少ない分、コミュニケーションが取り易いからだろうか。
ツイッターでは記事を受けて、ビジネスパーソンらが、様々な思いをつぶやいている。
「学生時代でも少なからず上下関係がある。社会に入って突然、上下関係がなくなったら、そりゃ戸惑うわ」、「上司がいないと、中2病の若手が暴走しそう・・・」など、「上下関係をなくすのは、やっぱりNGでしょう」という意見が目立つ。
上司からの評価には、不満
「上司は必要」とはいえ、「上司からの評価」に、不満を訴える人は多い。昨(2015)年、日本経済新聞とNTTコムリサーチが、20~50代のビジネスパーソンを対象に行ったウェブアンケートによると、人事評価の仕組みに対する満足度に、「不満(不満+どちらかというと不満)」と答えた人は37.8%で、「満足(満足+どちらかというと満足)」(19%)を約2倍上回った。特に、中堅の30代以上では、不満が高くなる傾向にあった。
人事評価の仕組みに不満な理由を尋ねたところ、「評価基準が明確に示されていない」(41%)、「評価者の好き嫌いで評価されてしまうため」(38.7%)、「評価者が直属の上司しかおらず、評価が一面的」(24.9%)、「上司など評価者が自分の仕事ぶりをよく把握していない」(24.6%)など、上司が自分を評価する基準があいまいで、不満に感じる人が多い(「人事評価に関する意識」2015年3月10日公表)。
誰が責任を取るのか
不満の源泉にもなる「上司・部下」関係だが、冒頭の記事では、スタンフォード・ビジネス・スクールのリンドレッド・グリーア教授が、「オフィスでの上下関係は、情報処理をスムーズにする」とコメント。誰に情報を伝えるべきかが、明確になるからだ。同時に彼は、「社内の上下関係を完全に廃止するのではなく、不平等を減らす方法を探ることが大切」と、まとめている。
ツイッターでは、「社会ってのは役割が必要なんだよ。よほど自立型の思考がある連中の集まりじゃないと機能しない」とか、「階級はなくてもいいけど、無秩序はよくないよね」など、共感する声も多い。一方で、「上司がいないと、責任おっ被せる人がいなくなってダルいなあ(笑)」なんてつぶやきもあった。
(KH)