長期安定経営の長寿企業でも経営の仕方に迷い
家族主義とか実力主義とか、あまり考えたことがない経営者も相当数いると思います。目の前の営業や生産に全力を尽くす、ということでしょうが、社員にすると会社の経営方針がわかりにくく、迷いにつながります。
「どちらとも言えない」の経営成果は、2%以下の低経常利益率が45%。赤字企業も2%あります。「やや家族主義」の32%との差は歴然としています。6%以上の高収益率に占める「どちらとも言えない」の比率は18%、「やや家族主義」の25%との差が開いています。「実力主義」「やや実力主義」も「どちらとも言えない」の経営者も、低収益を余儀なくされている今の経営でよいのか、悩んでいることでしょう。
「実力主義」と「やや実力主義」の経営は社員の評価に数字と実績を多用し、効率経営を目指す仕組みとして有効に思えますが、どの角度から見ても収益率が悪いようです。また、方針を明確にしない「どちらとも言えない」も、「やや家族主義」に比べて、経営成果が見劣りします。
長年の安定経営を続けてきた長寿企業でも、経営方針に迷いがあることがわかります。調査対象は、すべて100年を超える企業群ですから、創業間もない頃は、間違いなく家族主義で始まったことでしょう。それが時代と共に変貌しています。
長期安定経営をしてきた長寿企業ですら、そういうありさまですから、非長寿企業においては、もっと端的にこの傾向があらわれるのではないでしょうか。この結果を踏まえて、会社に対して、社員はどのように対応していけばよいか。それを次回にお話しすることにしましょう。(浅田厚志)