まず人に相談してみる
私はH社長の相談に乗ることになりました。決算書を見たところ、3期前から繰越損失が発生し、前期決算では遂に債務超過になっていました。ほったらかしの税理士もひどいものですが、もう少し早く相談していたなら、いくらでも改善策はあったはずに思えました。
「ずっと悩みに悩んでいたものの、どうしていいか分からず、友人、社員はおろか身内にも相談できず、一生懸命働けばなんとかなるだろうとズルズルここまで来てしまいました」
腰を据えて聞いた社長の身の上話に、仕事にかける前向きで真摯な姿勢と技術探求心が十分理解できたので再建は可能と判断し、当面やるべきことを指示しつつ知り合いの資金繰り改善専業のコンサルタントを紹介し、彼にH社長の人となりを話した上でその運命を委ねることにしました。
2週間ほどして、社長から電話がありました。
「いろいろな策を授けていただき、少し光明が見えてきました。がんばってみます。おカネの話は恥ずかしいと躊躇せず、もっと早く誰かに相談すれば良かったと本当に思います」
社長であろうとも、決して孤独ではありません。むしろ責任が人一倍重い社長であるからこそ、何かに悩んだらまず人に相談してみる、そんな勇気を持つことが大切なのです。(大関暁夫)