介護休暇、上司が「取らせる余裕ない」 やはり取得するのは無理ですか?
【「フクロウを飼う」弁護士と考える】

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条件を満たせば、会社は介護休暇・休業の申出を拒否できない

   次に、どのような場合に介護休暇・休業を取得できるかについてですが、「対象家族」が「要介護状態」になった場合に限られます。「対象家族」とは、配偶者、父母及び子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫のことを言い、祖父母や兄弟姉妹、孫は、同居かつ扶養していないと「対象家族」に当たらないので注意が必要です。そして、「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を言います。

   ご相談者の件では、お母様の病気が悪化して寝たきりになってしまったとのことなので、「対象家族」が「要介護状態」になっていると思われます。したがって、ご相談者が、先の雇用形態のところで説明させていただいた条件をクリアーしていれば、会社は介護休暇・休業の申出を拒否できません。

   仕事も重要ですが、家族の健康も大事です。介護休暇・休業が必要な場合は、この制度を是非利用して下さいね。また、条件をクリアーしているにも関わらず、会社から介護休暇・休業を認められないというケースの場合は、弁護士に是非ご相談してくださいね。

ポイント2点

●日雇い以外の雇用形態であれば、原則として介護休暇・休業取得の対象となる。しかし、介護休暇は勤続6か月未満や労働日数が週2日以下の方、介護休業は勤続1年未満の方は、協定によって対象外となる可能性がある。

●介護休暇・休業を取得する際に、介護対象者が、「対象家族」が「要介護状態」である場合に限られている。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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