介護休暇、上司が「取らせる余裕ない」 やはり取得するのは無理ですか?
【「フクロウを飼う」弁護士と考える】

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弁護士解説 介護休暇と介護休業の違い

   昨今の高齢化社会において、ご相談者のように介護と仕事の両立に苦慮している方は多いと思います。そこで、介護と仕事の両立を図るために、育児・介護休業法という法律があります。この法律において、介護休暇・休業取得についてのルールが定められています。該当の制度としては介護休暇と介護休業というものがあるので、ご説明します。

●介護休暇::介護が必要な家族に必要な世話をするために年5日まで、1日単位で単発的に休暇を取ることができる制度です (その介護、世話をする対象家族が2人以上の場合にあっては、10日間認められます)。

○介護休業::通算して1回あたり93日まで、長期の休みを取ることができる制度です。

   介護休暇・休業は、どのような雇用形態の方が、どのような場合に取ることができるのでしょうか。雇用形態について、日雇い以外の雇用形態であれば、原則として介護休暇・休業取得の対象となります。したがって、正社員だけではなく、アルバイトや契約社員等の方も対象になります。しかし、下記の様な場合には対象外になってしまう可能性があります。

●介護休暇::勤続6か月未満や週の決められた労働日数が2日以下の方。こちらは「労使協定」という会社や労働組合と労働者の間での定められる協定によって、対象外と定められている場合は対象外となってしまいます。

○介護休業::勤続1年未満の方。上記と同様、介護休暇の対象外にする等の定めがあれば対象外となってしまいます。また、期間を定めて雇用されている労働者の方は、雇用期間が1年以上で休業開始日から93日を経過しても引き続き雇用されることが見込まれることが必要です。

   したがって、このような例外もあるので、介護休暇・休業の取得を考えておられる方は、一度どのような決まりがあるかを会社に確認した方が良いと思います。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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