ニュースキャスターに学ぶ 「聞く力」の磨き方

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   報道番組のキャスターの変更が相次ぎ行われますが、そのなかでも古舘伊知郎氏の「報道ステーション」降板に関する注目度が一番かもしれません。官邸との問題とか、理由に関して詮索する話を耳にします。当方は、この降板ニュースを耳にして違ったことに想いを巡らせてしまいました。それは

「(前身番組の)『ニュースステーション』は面白かったな...その理由はキャスターの聞く力かもしれない」

ということ。

久米氏と古舘氏の違い

キャスターと「聞く力」の関係とは
キャスターと「聞く力」の関係とは

   古館氏の前に報道番組をリードしてきた、久米宏氏のキャスター力です。久米氏は、古館氏と比べると違うタイプで聞き上手なキャスター。「それは違うでしょ、話上手な人の間違いでは?」と言われる方もいるでしょうか、(私見ながら)辛辣な意見を言っているだけでなく、ゲストの意見を十分に聞いていたのが印象的でした。


(報道ステーションの)古賀(茂明)氏降板問題でも、「僕が司会なら最後まで聞いた」とコメントしていたのが印象的でした。番組に出演しているゲストも、キャスターが「聞き役」として十分に聞いてくれることで、相手との信頼関係は大いに高まります。ゆえに、厳しいやりとりをしていても、久米氏が番組キャスターしていたときには「対立関係」に見えなかったことを覚えています。

アクションで盛り上げる

   さて、キャスターだけでなくビジネス全般で「聞き役」としての能力はとても重要。その際に、ただ聞くのではなく「アクションで盛り上げる」ことが重要となってきます。皆さんも普段から人の話を聞く時には、「うなづく」など何らかのリアクションをしてはいると思います。例えば「えー! そうなんですか?」「すごいですね!」と合いの手を入れたり、驚いたように手や体をオーバーに動かしたり、話の内容に合わせて表情を変えてみる。このように、聞き手に動きがあったほうが、話し手も話しやすくなり、会話がどんどん進むものです。

   心理学でよく引き合いに出される「メラビアンの法則」によると、人は対話をした時、相手の話した内容よりも、相手の表情や動きをより記憶しているといいます。だからこそ、雑談によって円滑な人間関係を作ろうとするのであれば、聞き役に徹している間は、できる限り相手の話を聞いてアクションで盛り上げる癖をつけてみてください。

   最近の職場では、何に対しても淡々と接する風土があるように感じます。何でも「できることが当たり前」とされていて、ダメな点はマイナス評価される一方、プラスの面をたたえる社風がない組織が結構多いものです。誰かが何かを話したり、コメントをしたりしても、淡々と聞いてはくれるものの、それに対して抑揚のある反応が返ってこないケースが多いように思うのです。つまり、発言に対して「打てば響く」ように接してくれる人が、少なくなっているのです。だからこそ、「打てば響く」存在でいること自体が、とても重要なのだと思います。

雑談が長引きそうな時は...

   「そうはいっても、あまりにもいいリアクションをすると、雑談が長引いて収拾がつかなくなってしまうのでは?」と危惧する人もいるかもしれません。そんな時は、「ちょっと時間も経ってしまったので、そろそろ本題に入りましょう」とか、「まだまだ聞きたいこともありますが、時間も時間ですので...」など、上手に切り上げてください。

   さて、聞き上手をめざすため、報道番組のキャスターの聞く姿勢に注目してみてください。さらにいえば、そのアクション度合に注目してみてください。ゲストの盛り上がりに影響しているはず。みなさんのビジネスシーンで応用できるヒントが見つかるかも、ではないでしょうか?(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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