「専業主婦」像に漂う閉塞感の正体 【女性キャリア最前線】

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   先日、学生時代の友人2人と会いました。専業主婦で、3歳と1歳の子供がいるK子と、同じく専業主婦で、5歳の子供がいるY美です。場所は、2人がたまに行くという「子連れ歓迎」のカフェ。大人専用の席とは「別の部屋」に、小さな子供が遊べるスペースが設けられた「ママ&子供専用」の部屋があるのです。

   抗菌じゅうたんが敷かれ、ベビーベッドが置かれた部屋は、カフェというより「おうち」の雰囲気。子連れママには安心です。K子は、「3歳と1歳の子連れで気軽に飲食できる場所は、ほとんどない。ファミレスでも人目が気になる」と、言っていました。どうやら、子育ては思ったより大変そうです。

結婚はしたいし、子供もほしい。でも・・・

社会との距離感が・・・
社会との距離感が・・・

   「かやちゃんはいいなぁ、東京で仕事してるなんて」「ニュース書いてるの? すごい! 読むね!」。しばらくぶりで会ったので、2人に近況報告をしたところ、こんな反応が返ってきました。嬉しかったものの、自由に仕事をし、家事育児など「ケア労働」を一切しなくてよい1人暮らしの身としては、そこまで褒められた生活をしているとは思っていません。神妙な気持ちになったので、「いやいや、普通にニュースとかコラム書いてるだけだよ!」と返すと、「でも、楽しそう。私なんて、家事とか子供の世話の合間に、ヤフーニュースの芸能欄くらいしか読まないよ~」と、K子は笑いました。

   「私もそう。芸能ニュースくらいしか読まないし、世間の難しい話題についていけない! あれこれ家事して、献立を考える時間が近づくと、憂鬱になってくるんだよね」と、Y美。

   幼い子供が2人いるK子は、「子供からはとにかく目を離せない。上の子がすねちゃって、こっちの言うことを聞かないから、つい怒鳴っちゃって・・・Y美はそんなことない? 私だけかなぁ」と、少し不安そうでした。

   複雑な気分です。先日、『本当は結婚したくないのだ症候群』なる新刊(青春出版社)を出したのですが、そこでインタビューした、ある独身女性の発言を思い出したからです。

   「結婚はしたいし、子供もほしい。でも、専業主婦の友だちが、フェイスブックに子供の写真ばかりアップしているのを見ると、『それしかないの?』『家事育児しかない生活・・・』って思っちゃう」(インタビューした東京の独身女性)

「社会との関わりがなくなる気がする」

   首都圏で働く独身女性たちは、多くが、「専業主婦になると、社会との関わりがなくなる気がする」と言っていました。皆、結婚願望はそれなりにあるのですが、家事育児に専念する生活のイメージは、決して明るいものではありません。とにかく「社会と離れてしまうのは嫌!」という気分が、感じられたのです。

   K子とY美の専業主婦ライフを聞いても、なんとなく「社会と離れている」のを強調している気がしました。K子は、「世の中でなにが起きているか、ヤフーニュースで知るくらい。難しいことはよく分からないし、考える暇がなくなった」といいます。夫が帰ってくるまで、たった1人での育児ストレスは、かなりのようです。

   もちろんK子だって、育児の喜びを実感することはあるでしょう。が、彼女自身、そして世間からも、「専業主婦は社会と離れている」と思われている・・・そんな部分が、少なからずあるように思います。「専業主婦=家にいて、社会との関わりがない」とのイメージがあるかぎり、なんとなく育児には『閉塞感』がただよい、独身女性は、その閉塞感を時に羨みつつ、「自分には無理・・・」と、思ってしまうのかもしれません。

   ひとつのカフェが、「大人用の部屋」と「子連れ専用部屋」に分けられていること自体、専業主婦の『ツラさ』を象徴している気がしてくるのでした。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
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