「遅刻」スタッフは「店長が一番(遅刻を)やっています」
フランチャイズ本部の見解はこうでした。
「勤怠管理の低下は単にサービスの低下だけでなく、必ずや食中毒や異物混入などの事故に発展します。そうなればそれはチェーン全体の大打撃につながることであり、我々は現状の改善が早期にできないなら、チェーンを守るために御社には全店撤退を勧告します」。
本部の言っていることは至極真理です。このままではF店の閉店はおろか、M社のフランチャイズ除名までありうる状況に至ったのです。
突発的かつ人員不足頻発の原因は、スタッフの急な欠勤や遅刻の多発などにより、シフトや引き継ぎがうまくいかないことにありました。通常10人で回す店舗が、繁忙時間帯に半分の5人で回す羽目になるような事態もあったのです。店長へのヒアリングでは、「スタッフがいくら言っても言うことを聞かない。会社として、欠勤などに相当なペナルティをルール化してもらわないと、改善は無理ではないか」と、お手上げムードをにおわせていました。
しかし、スタッフへのヒアリングで事態は急転しました。店長自身が勝手に突然休暇を取ったり、遅刻常習犯だったりしたのです。店長は自己の勤怠記録を改ざんしていたようで記録上からは分からなかったのですが、遅刻や欠勤が多いスタッフへのヒアリングをおこなったところ、「店長が一番やっていますから」という話が続々噴出したのです。
現場調査結果を聞いた社長は、「本人を呼んで事実確認をし、スタッフの話が本当なら勤怠データ改ざんを理由に解雇する」と言いました。すぐさま店長が本社に呼びつけられ、社長に加え店舗統括部長、人事部長同席での面談が行われました。