40代で見抜くべき「会社の将来」 そのまま働き続けて大丈夫ですか?
【長寿企業の素顔】

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   20歳代で社会に出て、約20年が経ち40歳代となった。もはやベテランと言われ、社内の発言力もあり、努力を続けてきた人たちには、仕事もプライベートも充実している年代のはずだ。さて、いよいよこれからビジネスパーソンの実りと収穫の時期を迎える。だが、ここでよーく社内を見渡してほしい。

   もし、勤めている会社が設立から30年以上経っていて、経営継承の経験がなく、かつ後継者の姿がまだ見えないとしたら、「そのまま働き続けるのか」も含め、勤務態度を考え直した方がよいかもしれない。なぜか。長寿企業が最も重視してきた「経営の要諦」から得られる教訓とは――

最も大事で、難しい仕事は後継者の育成

40歳になったら・・・
40歳になったら・・・

   あなたが最も稼げるのは40歳からの15年が一般的だ。55歳を超えると、給与は現状維持か、下がる傾向にある。そして、60歳(会社によっては65歳)で定年退職をし、満額年金がもらえるまでもうひと働きすることになる。その時に、会社が隆々としていたら、いままでの経験を活かしたポジションに就けるだろうし、後輩から敬意を添えられた仕事が与えられる。

   しかし、会社が左前になったらどうなるか。法律で60歳以上の従業員が継続勤務を希望すると会社は断れないので、何らかのポジションを与えなければならない。ところが、その時の会社の業績によって、処遇に雲泥の差が出てくるのは自明の理だ。

   仮に22歳で社会に出て、60歳まで勤めたら、その間38年の歳月が流れる。ひと世代30年と言われるので、38年の間には経営者の世代交代が起こっているだろう。仮に起こっていなくても、最低でも次の後継者が決まっていなかったら、その会社は相当に膿んでいると見ていい。それ程、経営者にとって、最も大事で、難しい仕事は後継者を育成することなのだ。その最も「大事な仕事」が、長期に渡り後回しになっている組織の将来は、決して明るくない。

40歳になったら、今こそ・・・

   元日本IBM社長の椎名武雄さんは1975年の社長就任早々に、米国本社から来た役員に第一声で、「君の後継者は誰だ?」と言われたらしい。就任したばかりの社長に言う言葉とは思えないが、続いた言葉が「もし君がトラックにひかれたら、どうする?」だったと言うから徹底している(朝日新聞2015年8月10日付)。

   長寿企業は、こうしたことを極めてよく理解し、そして実践している。あなたが仮に長寿企業に勤めているなら、親族であれ、他人であれ、次の後継者が見えているはずだ。

   経営の継承は最大級に重要であり、いつまでも後回しにしてはいられない――これが、先に触れた、長寿企業が最も重視してきた「経営の要諦」なのだ。

   経営継承問題に毅然として向き合えていない会社に勤めていたとすれば、40歳になったら、今こそ会社の将来性を見極める必要がある。もっとも稼げる40歳から55歳までの会社員としての黄金期を良い環境で過ごせるかどうか、転職を含め、真剣に検討してほしい。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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