実は恐ろしい「いい加減」な採用担当 本当は「計算された狙い」アリ
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   今日のテーマは「大学受験との違い」です。

   先々週、センター試験が実施されましたが、例によっていくつかのトラブルがありました。再受験者数は250人超。

   毎年、約55万人も受験しているわけですから、再受験者数がわずか250人程度(0.005%未満)にとどまったのは、公平かつ正確に実施されたことを示しています。

センター試験受験が就活生を弱くする?

受験と就活の大きな違いとは?
受験と就活の大きな違いとは?

   この再受験者数をよくよく見ていくと、怪しい話があります。

   北海道の会場で行われた試験では、試験監督の担当者が予定より5分早く試験を開始、5分早く終了させてしまいました。

   その後、試験が早く始まったことに気付いた担当者がいったん試験を中止、24秒後に再開させました。

   この中断していた24秒分、受験生が動揺したとして、希望者が再受験することになったのです。

   このように、大学受験は「たかが24秒、されど24秒」。

   公平かつ正確に実施されているのです。

グループディスカッションで「いい加減」なお題

   その点、就活はどうでしょうか?

   仮に、エントリーシート郵送の消印有効日に間に合わなかった、としましょう。

   センター試験ならその時点で出願を断られます。

   が、就活の場合、企業によっては当日持参でも受け取るところがあります。

   会社説明会についても、ナビサイトの満席表示は無関係であることはこの連載で明らかにしています。

   グループディスカッションも同様。

   あるベンチャー企業では、お題を考えなければならなかった採用担当者が土壇場になっても考えられませんでした。

   そこで迎えた、グループディスカッション選考当日。

「えーっと、今日、お題思いつかなかったので、『弊社の選考参加学生を増やすためには』。これでよろしく。時間は1時間です」

実はわざとの「いい加減」

   ざわつく中、グループディスカッションが始まりましたが、さらに20分後。

「すみません、時間、1時間とお伝えしましたが45分でした。そのつもりで」

   会議室がさらに不愉快そうなざわつきに包まれたのは、言うまでもありません。

   では、この企業は、いい加減な企業なのでしょうか?

   実はそうではありませんでした。

   テーマ設定も時間の途中変更もすべて織り込み済み。急に変わることで、どのような反応を示すか見るためです。

「『いい加減』は『良い加減』でもある」

   このような「いい加減」さ、大学受験では絶対に許されません。しかし、就活では似たような「いい加減」さがよくあります。

   なぜ、よくあるのでしょうか。

   それは、社会人になってから、「いい加減」な場面がいくらでもあるからです。

   大学受験と同じように、全部、公平かつ正確に行われるものがビジネスであれば、それは大学受験と同じようにきっちりやった方がいいでしょう。

   では、就活や社会人生活は?

   公平かつ正確に進むことが理想ではありますが、実際はそうではありません。ならば、「いい加減」にも対応できる人材こそ求められます。

   ある採用担当者は、この「いい加減さ」について次のように話してくれました。

「いい加減は『良い加減』とも書きます。決められた場面でしかできない、というのではなく、不測の事態にも対応できる柔軟な姿勢があるかどうかも見ています」

   真面目すぎる学生は、その真面目さこそ見直した方がいいでしょう。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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