性善説VS性悪説 不正対策のツボとなる考え方は・・・ 【企業不正に手を染める~】

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懐疑的な性善説

   こう考えると、性善説と性悪説は、人がもって生まれるもののとらえ方は大きく異なるものの、詰るところ「人の弱さ」に着目し、それが顕在化して悪事に至らぬように教育や規範づくりを重視するという共通点も持っているのだ。人的リスクの管理は「性弱説」で行うべきと主張する人もいるが、言い得て妙かもしれない。

   冒頭の「懐疑心」になぞらえるならば、不正対策のツボは「懐疑的な性善説」による管理を徹底することではないだろうか。言い換えれば「社員(部下)の誠実さを信じよう。でも、誰にでも不誠実な考えに流される弱さがあるため、注意して見守ろう」という勘所を押さえることが求められているのである。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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