東芝で2015年に発覚した巨額の会計不正により、同社に対して73億円の課徴金納付命令が出され、歴代の経営陣の責任を問う訴訟も起こされている。
さらに、東芝の監査法人および担当会計士に対しても公認会計士法に基づく処分が下された。それを受けて、日本公認会計士協会は、会計士に対して「職業的な懐疑心」を十分に発揮し「相当の注意」を払って監査を徹底するよう改めて要請した。
「みんな悪人」が前提では・・・
ところで、企業不正が相次ぐと「日本の企業は今まで性善説による管理をしてきたが、これからは性悪説で考えなければダメだ」と指摘されがちであるが、そもそも、性善説・性悪説とはどのようなことなのか。
そこで問題。次の説明は正しいかどうか、考えていただきたい。
●性善説は「人はみんな善人で、不正などしないから、任せて安心である」という考え方であり、性悪説は「人はみんな悪人で、放っておくと不正をするから、厳しく管理しなければならない」という考え方である。
これらの説明が正しければ、性善説はあまりに楽観的な考え方であり、確かに不正が起こりやすくなるだろう。しかし、従業員を「みんな悪人」とみなして管理するというのもしっくりこない。上司が部下にそんな態度で接したら、お互いの信頼関係など生じる余地はなく、部下のモチベーションは低下し続け、企業の発展は望めないだろう。