まるで「文通」?
実は学生時代に就活をしていた際、「校正」の仕事に興味をもったことがありました。が、実際に本を出すようになって、校正さんの仕事ぶりに触れてみると、それは「甘かった」と思います。興味のないテーマの原稿も読み通し、前後の文脈に矛盾がないか調べる。出典を確認し、引用元にミスがないかチェックする。ことわざなどの用例も、間違いがあってはいけません。
今回の新刊は「結婚」がテーマですが、いちばん感動したのは、「妙齢」と「適齢期」の使い分け。「妙齢なのに結婚しない」という表現に対して、「ここは『妙齢』としていますが、『適齢期』では? 両者は意味が違いますが、最近では一緒の意味で使う人も多いようなので、ご判断下さい」と、指摘いただいたことです。「なんて細かい視点なのだ!」と、感動。これをきっかけに、「妙齢」の意味について調べ直したところ、面白い点が沢山みつかり、「妙齢」について1本、コラムを書くことに。書き手としての、新たな発見につながったのです。
校正さんとは顔を合わせる機会がまったくありませんが、コメントを見ていると、まるで「文通」しているような、不思議な気持ちになります。字体から、「どんな人だろう」と、想像をふくらませることも。顔は見えないけれど、校正さんには本当に、感謝しきりなのです。いつか、会ってお礼を言いたい・・・。(北条かや)