テクノ機器の急速な進化により、時代は変革され、まさしく「ハイパーチェンジ」の時代です。かつて日本海海戦で、戦艦三笠を旗艦とする大日本帝国艦隊が、世界最強のバルチック艦隊に大勝しました。秋山真之の「T字戦法」が功を奏しました。その時の電文が「天気晴朗なれども、波高し」です。
現代社会も、人工知能、ビッグデータ、ソーシャルコミュニケーション等々の「テクノベンチャー」により、職場構造そのものが急速に変化しています。まさしく「波高し」です。ストレスは、平時よりも変革時に大きくなります。そういう意味で「天気晴朗なれどストレス高し」の時代です。ハイパーチェンジの職場をいかに生きるか?が、ストレス対処法の革新となります。
「予測不能および目新しさ」が今後の特徴
このような時代を生き抜く若きビジネスパーソンに求められるのは、宮本武蔵的生き方です。急速に職場の仕事内容が激変すると、今まで培ってきたスキルやキャリアの価値が減じることも考えられます。40年も鍛えたベテランの技が、ある日、人工知能にかわられることも想定されます。ビジネスパーソンも組織も「シフトラーニング」が必携となります。
佐々木小次郎を打ち負かしたのは、武蔵の二刀流です。現代風に考える筆者の独断を許していただければ、もう小手先のストレス解消法やコーピングでは勝ち目がありません。しっかりとしたゴール(目的)を定め、仕事にバリュー(価値観)を見出していく必要があります。
一つの専門性だけでは、ハイパーチェンジの時代は、足りません。武蔵のごとく、さらにもう一つの専門性を磨いておく必要があります。
「短刀」は、将来の変化への備えの技を磨いておくこと
医師免許+MBA資格を取得する大学院生も多いようです。ダブル資格が当たり前になるかもしれません。
変化は、先行き不透明感を生み出します。そして、「うつ病」を形成する原因の一つは「不安」。「不安」とは、「将来に対する恐怖」です。二刀流の長刀が現在の仕事であるとすると、短刀は、将来の変化への備えの技を磨いておくことです。「不安」は「備え」により防護できます。だから武蔵流を勧めています。
ストレスに強い人は「学び気づく人」
昨2015年末に義務化される前から、40年間継続して、延べ30万件ものビジネスパーソンの「ストレスチェック」を実施させていただいています。上位をキープ人には2つの特徴があります。1つは「書を読み、良く学び、気づき、謙虚になる」人々だ。2つは、明確な人生の目標と、自己の仕事に誇り(価値)を見出している人々だ。
「ビジネスにおける最大の競争力は、貪欲に学び、迅速に行動できる能力である」
とジャック・ウェルチ元ゼネラル・エリクトリック会長が語っていることと相通じます。(佐藤隆)