「営業職は結果が全て」とよく言われる。いくら真面目に頑張っていても、売り上げにつながらなければ、なかなか評価されない厳しい世界だ。
それでは、仕事以外の部分が「ダメダメ」な人も、営業で結果を出していればOKと言えるだろうか?そんな素朴な疑問にあらためて注目が集まっている。
敬語がおかしい、遅刻する、寝癖が・・・
Q&Aサイト「Yahoo!知恵袋」に、「やっぱり営業職は数字が全てでしょうか?」という質問が寄せられている(2016年1月9日)。
質問者の同期にいる、「敬語がおかしい、遅刻する、寝癖がついていたりする」という社員。
「けれど、売上が支店でナンバーワン。人間的魅力と交渉術で契約をどんどん獲得して行きます。先に昇進もされました」
先輩たちからも「ダメなやつ」と評価されていたが、4年連続売上ナンバーワンを成し遂げたその同期。
「朝までクラブで遊んでいて商談に遅れ、お客様の逆鱗に触れた際は、泣きながら何度も頭を下げ、警察を呼ぶと言われてもめげずに何日も通い許してもらい、商談に繋げる」
などメチャクチャとも思えるやり方で、「数字が全てなのは分かるが、納得いかない」との声も上がったが、上司からは「気持ちは分かるが、結果が全て」と一蹴されてしまったそうだ。
「お客様へのアフターフォローは苦手なのか、新規獲得した後はベテランの先輩に案件を引き継ぐことが多い」という欠点もあるようだが、同じく言葉使いや身だしなみがおかしい部下を率いたチームはやはり売上がいいという。
「私を含め周りに営業センスがないだけでしょうか?」と、意見を求めている。
「ちょっとダメな方が面倒見てあげたくなる」
回答者からは、
「小さい成功者にはなれても大成はしません。せいぜいグループ長クラス。5人の組織程度です。部長や部門長など100人程度の組織の長にはなれないし、活躍も20代だけ、30になるとダメ社員」
と、同期の姿勢に否定的な意見もみられた。しかし、
「世間一般のダメなやつと営業のダメなやつは違うんじゃないでしょうかね営業なんかは可愛がられたもん勝ちだと思ってます ちょっとダメな方が親近感が湧くし面倒見てあげたくなる そこのバランスがその人は絶妙なんだと思います」
「遅刻するにひっかかる人も多いようだけど、元々フレックスだと思えば問題ない。実はその時間に何かとんでもないマジックがあるのかもしれない。自分を低く見せているなんて、相当の策士かもしれない。成績トップなのだから何をやってもいいということも、十分わかっていての行動だろう」
など、評価する声が多く寄せられている。
「営業部門に成果主義は導入すべきでない」理由
「結果以外がどうあれ、結果が出ていればよい」と考える人が多いようだが、結果を重視する成果主義はどうか。経営コンサルタントの宋文州氏はかつて、導入に異議を唱えていた。
ソフトブレーン会長時代、日経ベンチャー(2006年9月号)で、「営業部門に成果主義は導入すべきではない」「結果に責任を負うべきなのは営業担当者でなく経営者」と持論を展開している。
大抵の場合、営業には会社の指示で担当企業や担当商品が割り当てられるが、
「どんな商売でも、『売れる客』と『売れない客』がいる。常連で何もしなくても取り引きしてくれる顧客がいる一方、ライバルの牙城でどうしても切り崩せない取引先もある」
とし、
「こうした状況で結果だけを競わせるのはアンフェア。現場からやる気が失われていく」と指摘している。(MM)