「あいつ、顔も見たくない。鳥肌が立つ」 その時、あなたの脳内で起きているコト

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脳の進化を理解する

   このメカニズムを理解するには、脳の進化を理解してストレス対処をすることが必要です。我々の脳には扁桃体があります。情動反応や記憶の調整を行っており、脊椎動物にみられます。

   人類は、ジャングルで暮らしていた時、身を守るために、危険を察知すると、この扁桃体が反応し、その相手と「戦うか逃げるか(闘争逃走反応)」のエネルギーとなります。職場では猛獣のような危害はないとわかっていても、我々の古い脳は、反応してしまいます。この扁桃体は、「ワニや馬の脳」とも呼ばれ、たくましく生きていくための脳だと言えます。一方、この古い脳をコントロールするのが、前頭葉を中心とした理性の脳。

   現代のビジネスオフイスでは、猛獣に出くわすことはありません。しかし、職場にはいろいろな人間がいます。ライオンのように吠えまくる上司。アライグマのように手をすりすりしゴマする人。豹のように隙あらば、あなたを狙っている人などです。実際のジャングルと異なり、現代は襲われることはないのに、日常の人間関係のストレスが、古い脳である扁桃体に作用して闘争逃走反応が生じています。

   職場の人間関係を制するコツは、理性が「ワニの脳」の手綱をしっかり握ることです。次回は、実際にコントロールする方法について考えます。(佐藤隆)

佐藤隆(さとう・たかし)
現在、「総合心理教育研究所」主宰。グロービス経営大学院教授。カナダストレス研究所研究員。臨床心理学や精神保健学などを専攻。これまでに、東海大学短期大学部の学科長などを務め、学術活動だけでなく、多数の企業の管理職向け研修にも携わる。著書に『ストレスと上手につき合う法』『職場のメンタルヘルス実践ガイド』など多数。
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