青学「箱根連覇」のツボ 会社の人材育成にこう活かす

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学ぶべき2点の管理手法

   「守・破・離」の精神で自分の型を押し付けることなく選手たちに自主性、主体性を持たせた育成をしつつも、圧倒的なコミュニケーション量で信頼関係を構築し何でも相談できる関係をベースにして、決して放し飼いにはしていない。「委譲」と「コミュニケーション」、その絶妙なバランスの上に立ったチーム・マネジメント。原監督の目覚ましい実績につなげた管理手法は、そう表現していいでしょう。

   そこまで考えてみて、私が見てきた何人かの優れた経営者、すなわち社員に慕われ、部下育成に優れ、立派な後継者を早々に育て上げた方々と共通するものがまさにこの手法であったと、気がつかされました。一見「それまでしっかり握ってきたリードを自らの手から離し、メンバーに自主性、主体性を持たせ」つつ、「双方向のコミュニケーション量を確保することで、強固な関係を保つ」という、全く同じ「委譲」と「コミュニケーション」のバランス感覚が彼らにも共通するやり方だったのです。

   「自分が先頭に立ってやらなくちゃ会社がダメになる」「部下には怖くてとても任せられない」という社長の意識が、人材が育つことを阻害し、次世代へのバトンタッチを遅らせている例は、大企業を含め枚挙に暇がありません。今年青山学院大学駅伝チームを常勝軍団にまで高めた原監督の管理手法から学ぶべきことは、「委譲」の決断と量を意識した双方向の「コミュニケーション」。今年は、この話を権限移譲、部下育成、後継問題等で悩まれる多くの経営者にお伝えしていきたいと思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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