日本商工会議所がまとめた中小企業の2015年度の所定内賃金の動向によると、15年12月時点で15年度中に賃上げを実施または実施予定と回答した企業は55.6%で、9月の調査に比べて4.3ポイント減少した。15年12月28日、発表した。中国経済の先行き不透明感や国内景気に足踏み感がぬぐえないなか、業績好転が期待できず、賃上げに消極的になった企業が出てきたとみられる。
「方法」最多は定期昇給
調査は全国の約3000社が対象。日商は14年度以降3か月ごとに調査を行っているが、賃上げ企業の割合が減ったのは初めて。賃上げを見送るとの回答は23.6%。「現時点では未定」との回答は20.8%に達し、9月時点の7.4%から大幅に増えた。
また、賃上げした企業にその方法を複数回答で聞いたところ、定期昇給が79.3%で最も多く、給与を一律に底上げするベースアップは31.8%にとどまった。手当の新設・増額が10.1%だった。
賃上げ企業の割合を業種別でみると、製造業が63.0%、建設業は60.4%、卸売業59.1%、サービス業54.2%、小売業42.8%と続いた。一方で、人手不足を背景に賃金を上げざるを得ない中小企業も少なくないと推察される。