引きこもりや、一部のニート(NEET)のことを「自宅警備員」と呼ぶようになったのは、いつからだろう。今ではすっかり、ネットスラングとして定着しているこの言葉。
最近では、引きこもりの人たちを、本物の「警備員」として雇用する会社もあるそうだ。ツイッターでは、そんな会社の試みについて、様々な意見を飛び交っている。
「週1日でもOK」
話題になっているのは、「ダイヤモンド・オンライン」が報じた、東京・町田市の警備会社「エリア警備」。記事では、同社の経営者2人にインタビュー。なぜ引きこもりの人たちを雇用するに至ったのか、その仕事内容などをルポルタージュ形式でまとめた(「引きこもり経験者を本物の『警備員』として雇う会社」 池上正樹『引きこもり』するオトナたち、2015年12月17日)。
記事によれば、警備員の主な仕事内容は、道路に立って赤い棒を振ること。研修を受けて採用されると、週に1日や半日、日勤、夜勤の別などを選んで働ける。記事では、社長らへのインタビューから、警備員の仕組みが「登録制なので、自分のペースで仕事ができるのも(当事者にとっては助かる部分が)大きい」と分析。社長たちは、応募者の履歴書にある「空白」や、『過度のコミュニケーション力』は重視しない方針のようで、中には同社での就労を通じて、『社会復帰』した人もいるようだ。
記事がネットで拡散されると、ツイッターでは様々な感想が見られた。
「自宅警備員として培ってきたスキルを活かせる場ができた。 ある意味、ひきこもり歴イコール、キャリアだよね」と、ネットスラングとからめて興味津々の人も目立つ。「『この手があったか!』と、後に続く企業も多いかも」とつぶやく人もいた。
「社長さんの度量や人柄の賜物」
経営サイドの懐の深さに、感動する声も。ツイッターでは、「すごいなぁ。たまたまそう(引きこもりの人を雇用するように)なった、って言ってるけど、社長さんの度量や人柄の賜物だなぁ」とか、「2人の経営者の優れた人柄!」など、称賛の声が多く見つかった。
一方、「視線とか笑い声がダメな引きこもりにとっては、警備員は無理そうだな・・・」と指摘する人もいる。確かに、一口に「引きこもり」といっても、様々なタイプがいる。
2013年12月に設立された「NEET株式会社」の一員である「スクイッド」氏は、ある日のブログで、「散歩中、前を歩いていた小学生の女の子に逃げられ、胸がじわじわと痛んだ」経験を綴り、次のように述べている。
「自分の繊細な感受性について調べていたら、HSPという5人に1人の割合で感受性が高くなる性質を持っていることが分かりました。日本人の場合、さらに割合が高いらしく、おそらくこの記事を読まれている方の中にも、あてはまる人がいると思います」(「ひきこもりやニートにとって恐ろしいこと」2015年10月29日公開)。
引きこもりの人たちの、繊細な感受性を、どう生かすか。ツイッターでは、「環境によって性格は変わるもんだよ」といったつぶやきも見つかった。(KH)