会長が幼稚園で受けた衝撃 これは「企業の人材育成」に通じる!

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   皆さま、あけましておめでとうございます。

   今年は丙申(ひのえさる)の年です。甲、乙、丙と、丙は樹木の成長を表す十干の中で3番目。乙の段階では伸びようとするもまだ形のないものが、丙でようやく形になろうとする段階を示しているのだとか。さらに、申は「呻(うめ)く」の同意語で、やはり樹木の成長過程において果実が成熟して行って、固まって行く状態を表している、と。すなわち今年、平成28(2016)年は「成長」の年に他ならないようです。

   昨年暮れのことです。昔お世話になった関西の中堅企業会長Jさんが上京されお目にかかった際に、ちょうど「成長」に関する経営のヒントになりそうな、おもしろい話をうかがいました。新年に際して、少しご紹介しておきましょう。

子供を正しく育てるための接し方

相手が子供でも大人でも、基本は同じ
相手が子供でも大人でも、基本は同じ

   Jさんは現在、自分で立ち上げた会社をご子息にバトンタッチし、出社は週に2日程度。残りの平日はお孫さんを幼稚園にお迎えにいくのが楽しみという、悠々自適の生活を送られているご様子でした。

   ある時、幼稚園の待合でお孫さんが出てくるのを待っていると、園長から保護者のご家庭にあてた「子供はこうして学ぶ」と題された定期通信的な情報ペーパーに目が行き、何気に手にとって読んでみたそうです。

「その幼稚園は、心理学に精通された先生が園長さんをされているように聞いてはいたのですが、読んでみてビックリさせられました。子供を正しく育てるための接し方を親御さんに上手に伝えたものなのですが、これが素晴らしい。この話は会社組織にも通用するなと思いましてね。『人を育てる』ということの基本は、相手が子供でも大人でも同じなのだなとつくづく思いましたよ。さっそく社長に渡して、新年にあたって社長自身と幹部社員に徹底しなさいと話したところです」

   その幼稚園のペーパーは、子供が「学ぶ」過程について、「ことばを通じて」「モデルを見て」「体験から」の3項目から分析した、計900字程度の文章でした。

部下は上司の背を見て育つ

   Jさんは、このペーパーを経営者、管理者向けに解釈しなおし、自ら社長に話したという「人を育てる」ポイントを書き記した以下のメモ書きを見せて、私に説明してくれました。

   1:部下を正しく「育てる」ためには、何事も言葉でハッキリ伝えること。理由も明確にせず、ただ怒ったり口もきかずに処罰だけしたりするのは、ダメ管理者、ダメ経営者。上手な言葉の使い方は「褒める」を積極的に活用すること。実際の事例を持ってより具体的に褒めることで、人は正しく育つもの。さらに、言葉だけでは限界があるので、「2」以下に記す「見て学ぶ」「体験して学ぶ」ことと併せて適切な言葉で説明することで、部下はより正しい理解が進み大きく育つことになる。

   2:「人を育てる」上において、「見て学ばされる」ことは大変有効である。経営者、管理者はまず手本を示すこと。見せることに勝る教育はない。また、『部下は上司の背を見て育つ』の格言通り、経営者や上司がだらけていれば部下もだらける。経営者、管理者は常に下から見られ、注目される存在であるとの意識をもって、襟を正した行動をして欲しい。

   3:仕事における多少の冒険は常に必要。部下からの発案や、提案をその場で言葉だけでつぶしてはならない。まずはやらせてみること。やらせてみて、失敗から学ばせることも多いにある。部下の挑戦を見守りつつ、危なくなったら注意する、方向転換させる、ストップさせる、それが経営者、管理者の役割。部下の失敗を恐れて、部下に任せられず自分でばかりやることを繰り返していては、部下も組織も育たない。

2016年は丙申「成長」の年

   なるほど、「人を育てる」ことは、確かに相手が子供でも大人でも基本は同じであると、改めて気づかされるお話でありました。

   2016年丙申「成長」の年、皆さまの会社における一層の「成長」に向け「人を育てる」ご参考にされてみてはいかがでしょうか。本年もよろしくお付き合いのほど、お願申し上げます。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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