国会議員は育休取ってもいい ただし、一つだけ条件アリ

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アドバルーン戦略の一環?

   もう一つ、気になっていることがある。そもそも政府要職などに就いていない2期目若手議員が家庭と仕事の両立が出来ないほどに忙しいのか、という点だ。閣僚であればそれこそ10分刻みでスケジュールが入っているものなので、育休を取得したいという要望はよくわかる。まあ百歩譲って副大臣や大臣政務官政務次官クラスでもわかる。でも、そうではない若手なら、実質週3日ほどの国会出席+α程度の仕事量と思われる(2人とも、党務では青年局次長などに就いているが、同局の次長は60人以上いる)。

   地元選挙区の集会やイベント出席については、それは各人の『選挙区対策』であるのだから、後援会に電話一本入れて欠席するなり秘書を派遣するなりすれば済む話だ。党の勉強会なども「自民党のお仕事」なのだから、幹事長なり派閥ボスなどに話を通せば済む話だろう。たぶん、今回クレームをつけている与野党の議員さんたちも、大なり小なり、今までそうやって削れる部分を削ることで、家庭と公務の両立を図られてきたのであろうと思われる。

   ではなぜ、今回の宮崎議員はあえて育休という形でぶちあげたのか。それは恐らく、開かれた党をアピールするための自民党のアドバルーン戦略の一環なのではないか。女性の社会進出の促進が成長戦略に不可欠だという点で、筆者はなんの異論もない。でも、現政権が補助金などのバラマキ以上の領域にまで踏み込めるかは、正直言って微妙だと筆者は考えている。女性の活躍しやすい社会=労働市場の流動性の高い社会、であるからだ。

   そんな中で所属議員に育休を取らせることは、大変に低コストかつ強いインパクトのあるアプローチだ。実際、ネットを中心に、普段からとんがったことを言いたくてウズウズしている意識高い系の識者に大歓迎されている様子を見るに、PR戦略としてはまずは大成功と言ってもいいように思う。

   筆者が上記のようなうがった見方をするのは別に性格が悪いからではなく、筆者の専門分野である雇用で、既に自民党は同様の戦略で成果を出しているためだ。アベノミクス開始以降、安倍総理周辺は積極的に経団連や連合に、異例とも言える賃上げ要請を繰り返してきた。65歳定年延長や社会保険料天引きの引き上げなど企業負担を増やす政策を一方的に実施していながらよく言えたもんだと感心していたが、意外に政権に対する評価は悪くない(※注1)。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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