アドラー心理学を不正対策に応用すると? その共通するキーワードとは

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「個人の主観的認知」により生じるものは

問:「不正のトライアングル」の3要素のうち、「個人の主観的認知」により生じるのはどれか。

1:プレッシャー・不満(の抱え込み)
2:機会(の認識)
3:正当化

   正解は・・・「1、2、3」すべて、である。ということは、不正対策とアドラー心理学とは関係が深そうだ。

   まず「プレッシャー・不満」という要素が、主観的認知により生じるというのはわかりやすいだろう。プレッシャーに強い人と弱い人がいるのは、プレッシャーの受け止め方が人それぞれ違うからである。また、会社における処遇(昇給、昇進など)への満足・不満足も、本人の主観的なとらえ方次第である。

   「機会」は、チェックの甘さや役割・権限の集中など、内部統制の不備によって生じる。そのため、機会の存在自体は「客観事実」といえるだろう。しかし、不正を犯そうとする者がその存在に気づかなければ、不正のトライアングルは作られない。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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