皆さん、特にお若い方は、ほとんど知りませんよね。今日のネット社会を1980年に予言した人がいます。あの『第3の波』の著者、アルビン・トフラー博士です。農業革命、産業革命に続き、やがて第3の波である「情報革命」(脱産業社会)が来ると指摘したのです。
この本を読み返すと、「ネットは社会の必需品となり、ネットなしでは生きられない社会が来る」とすでに予言し、世界では「宗教による対立が激化する」とも書いています。実際、そんな社会が来ていますよね。
トフラーが予言した「ハイパーチェンジ時代」の特徴とは
さらに、ネット時代の特徴について、「ハイパーチェンジ時代」であり、その本質は「変化」が大きいことだけではなく、「目新しさ」と「予測不能」にある・・・とも言及していました。
このトフラー博士と、ストレス学の父セリエ博士が出会い、創立したのが、前回紹介した「カナダストレス研究所」なのです。
ビジネスパーソンにとって、過去に克服してきたことは「ストレス」にはなりません。戦歴は自己成長の活力であり、自信の根源であり、自己肯定感の源になりましょう。しかし、これまでの経験で対処できない「予測不能の課題」に直面した時に、ショックから「ストレス」が生まれるとセリエ博士は考えました。
トフラー博士のもう一つの名著『未来の衝撃』にセリエ博士は啓発され、このような考えに至りました。2人の出会いから生まれた「フューチャーショックトラウマ」への対処法を身につけることこそが、「ハイパーチェンジ時代」を生き残る「サバイバル攻略法」といえましょう。
解答のない新しい問題を解く能力が必要とされる
過去、私たちは「能力のある人」を評価する方法として、一流大学卒業者やTOEFLの点数、さらには資格を基に「あの人ってすごいね」と考えてきました。
しかし、最近では、できるはずの人が、できない。能力を見込まれ転職したはずが、成果が出せないというケースが激増しています。なぜなのでしょうか。
それは、ネット社会の特徴である「日々変化」と関係があります。私たちを取り巻く状況は、人工知能やビッグデータ、ロボット化、自動運転等々と急速な進化をしています。「過去問」を解く力ではなく、解答のない新しい問題を解く能力が必要とされるのです。英語はできなくとも、成果を出せる能力、いわゆるコンピテンシーに評価が移ってきています。
過去の経験が役に立たず、恐怖や先行き不安が多くなる時代です。「10年後、あなたの仕事は残っていますか?」といったテーマの本があふれていますね。そんな「ハイパーチェンジ時代」への対処法であるコーピングを身につけることこそ、「職場ストレス攻略法」の第一歩です。コーピングとは何か。それは次回、説明します。(佐藤隆)