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「人はポジティブな人に惹かれる」

   ある時、私は知り合いのコンサルティング会社A社の案内で、中堅サービス業B社の会議を見学させてもらいました。「社長を中心とした社内コミュニケーション円滑化のケーススタディ」です。公開会議でしたので、議題は「社内旅行実施に関する賛否について」という至って軽いものでしたが、根回しなしの状態から、社長中心に賛成反対活発な意見交換となり1時間程度の会議見学からも円滑な社内コミュニケーションの実情が良く分かりました。

   二代目のB社社長は、社内コミュニケーションの悪さを悩み、A社にコンサルティングを依頼。A社は寡黙であった社長の会議での立ち位置をポジティブな発言を通じて変えていく指導をおこない、報告的会議から意見交換の場としての会議に移行させたのです。主要会議での社長の変化で意見交換が活発になり、年間売上は20%増えたのだと言います。

   最終判断を下すリーダーたる社長の発言は、出される意見に対して決して批判一辺倒にならず、率直に良い部分は良い、違うと思う点は違うと自身の見解を述べた上で、自身の考え方も明確に示す。そして、さらにそれに対して出された社員からの意見にも耳を傾けつつ、納得できるものはその出された意見へのリスペクトの念を表明して前向きに修正する。B社では、「ロサダ・ゾーン」に近い会議運営を現実に見せてもらった気がしました。

   「人はポジティブな人に惹かれる」とロサダ氏は言います。世の経営者たるもの、自社業績の先行きを心配すれば、ついつい小言のひとつも言いたくなるのが常でもあり、ポジティブな発言が足りている経営者はあまりいないのかもしれません。しかし、言いたい小言をグッと堪え、受け入れる気持ちを持ってポジティブな発言に切り替えるなら、組織はもっと元気になる。組織に元気のなさを感じたなら、まずは組織を映す鏡である会議から。「ロサダ・ゾーン」を参考に、社長自身の立ち位置を変えてみてはいかがでしょうか。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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