大都会の夜はずいぶん変わりました。LEDの眩い灯が、しばし孤独を癒し郷愁を誘う――年の瀬ですね。「吉田類の酒場放浪記」を見て「なごむなぁぁぁー」と、つい思ってしまいます。
予測不能の大きな変化に直面する今の時代は、先行き不安や恐怖、人間関係の軋轢、理不尽な要求等々の状況に、どっぷり浸かる日々でもあります。せめて年末は忘年会で「ストレス」を全部、清きアルコールで流し去って楽しみたい・・・と考える人も多いでしょう。しかし、翌日「ケチナノミヤ」に通うよう(?)な言動がみられたら、少し気を付けましょう。
「アルコール依存症」の兆し
メンタル不調のサインの一つとして見られるのが、職場での「ケチナノミヤ(欠勤、遅刻、泣く、能率が下がる、ミスが出る、職場を辞めたい)」です(医師の鈴木安名先生の言葉を私なりに解釈させて頂きました)。
飲みすぎによる「不調」の現れです。失敗談として笑い話で済むうちはいいですが、すでに「アルコール依存症」の兆しだとすると油断はできません。忘年会の翌日の欠勤・遅刻は、メンタル不調のサインとなります。継続すると、なお疑いは強まります。楽しいはずの忘年会にも危険が潜んでいるのです。
「アルコール依存症」のチェックポイントは次の3つです。あなたも確認してみましょう。
1:精神依存。夕方になると酒なしではいられない渇望が続く。
2:身体依存。体が酒を求める。お酒がないと体に不快な反応が起きる。
3:離脱(禁断)症状。ある日、酒をやめたら出てくるのが「振戦せんもう」。手足のふるえ、不快感、不安、錯覚、けいれんなどが現れます。ビールを飲む手が小刻みに震えていませんか?他に「健忘症状」も。「健忘」とは、ある期間の記憶の減退をいいます。呑んだ場所や時間を忘れていること、ありませんか?
心配な方は、ジョンズ・ホプキンス大学や久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の、より詳細な診断方法が出ているので参考にされたい。
オススメの「ミルク晩酌法」とは
ストレスとアルコール摂取量は、相関がみられます。多忙になれば、ついお酒を飲むことが習慣になります。特に、睡眠のための「寝酒」については注意が必要です。人によっては必ずしも効果的とは言えず、また常用は依存を形成するリスクも高いのです。
そこで私は、「ミルク晩酌法」を勧奨しています。北欧で寝る前に飲むナイトミルク(快眠効果があるといわれている)にならい、お銚子に少量(30cc位)のミルクだけを入れて人肌に燗をして、30分かけてお猪口で晩酌をする方法です。快眠の生理学的効能はわかりませんが、寝る前の静かなひと時は、脳の興奮を抑え心身の緊張を解きほぐしてくれます。
こちらの方はアルコール依存にもならず、「ケチナノミヤ」にも行かせません。(佐藤隆)