皆さん、いよいよ(2015年)12月1日より「ストレスチェック制度」が始まりましたね。50人以上の社員がいれば、ある日、人事部より「○○さん、ストレスチェック受けてね」といった通知が来ます。その時「えっ、俺知らねえ、何それ?」なんて言わず、本稿をよく読んでおいてくださいね。
今回は、この「チェック」の対象の「ストレスの正体」について考えてみましょう。いろんなストレスを測定する機器が出ていますね。ストレスを感じると体に反応が出ます。イライラしたり、血圧が上昇したり、心臓がドキドキしたり、またストレスホルモンとよばれるコルチゾールが血中に増えてきます。
心理的負荷の程度を把握する検査
この反応を利用して、脳波計や加速度脈波計、唾液から測定する方法などが考えられています。
「それじゃあ、ストレスチェックは血圧検査でいいじゃないか」という人がいるかもしれません。
しかし、皆さん、身体の反応を把握するストレスは前述した測定機器で把握できますが、ストレスの正体はそう簡単ではありません。
義務化されたストレスチェックは、「心理的負荷の程度を把握する検査」だからです。
世界のストレス研究のトップはストレス学の父、ハンス セリエ博士が創立した「カナダストレス研究所」なんです。私が、ここに勉強に行った時に、所長のアール博士がニコニコしながら「君、ストレスって、ゆうれいと同じだよ」って教えてもらいました。なんで「ゆうれい」でしょうか?
「働く人の心理的負荷を増やす」ことの無いように
それは「ストレス」も「ゆうれい」も見えないからです。「ある」という人にはあって、「ない」っていう人にはないのです。特に「心理的負荷」というのは、客観的把握が難しい領域です。だからアンケートによって聞いているのです。
そして検査結果を見て「自分で気づく」ということなのです。
私は高血圧者ではないといっても、血圧計により客観的に判別されます。ストレスチェックは、アンケート方式という主観的な記入によります。誰がみても元気なのに「ストレスだらけだ」という人もいるかもしれません。
だからこそ、正しいストレスの知識を身に着け、チェックの結果を、病気の未然防止と、働きやすい職場環境の改善に結び付けましょう。間違っても「心理的負荷の程度を把握する検査」が、「働く人の心理的負荷を増やす」ことの無いように、実施しましょうね。(佐藤隆)