中小企業版ジャパニーズ・ドリームの末路 彼らはどこで失敗したのか

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「下町ロケット」のように、大手企業相手に丁々発止とは・・・

   結果、最大取引先となっていたI社からの発注ストップを機に経営状態が悪化し、国内大手企業との取引もその影響を受け激減。企業自体が存続不能の危機に陥り、銀行はじめ周囲への迷惑を最小限に抑えるべくやむを得ず、技術力を求めて来た外国企業に身売りするという結末に至ったのでした。

   「営業力の欠如がC社の致命傷。「町工場の星」が技術力だけで世界に立ち向かうことは不可能」。C社が身売りした後の業界紙に、そんな記事が掲載されていました。紙面では、対I社はもとより大手相手の折衝はすべて相手の言いなり営業となり収益が悪化したこと、リスク分散できる中堅企業宛の受注が拡大できなかったこと、を「業績悪化→身売り」の原因として論じていました。中小企業製造業発展の限界点を見た、私はそんな気がしました。

   はじめにも申し上げたように「下町ロケット」の佃製作所のように技術で世界に通用するレベルを持つ中小企業は、現実の世の中にもたくさん存在します。しかし彼らが技術力だけで大きな発展や、継続的な成長を続けていくことは本当に難しいのです。技術力と営業力が両輪としてバランス良く機能することが、技術系企業発展の重要なポイントである、C社の事例はそんな示唆に富んでいると思います。

   大手レベル、世界レベルの技術力がある会社でも、営業力が中小企業レベルのままでは対外的には通用しない。代理店を使ってでも、まず大手レベル、世界レベルの営業力を身にまとうべく努力すべき。現実の世界を知る立場からは、大手企業相手に中小企業的に丁々発止のやり取りを展開する佃製作所を見て、ついついそんなことを思ってしまう私です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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