中小企業版ジャパニーズ・ドリームの末路 彼らはどこで失敗したのか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

「第二のソニー」と業界紙で持ち上げられた

   この事は業界内ですぐに話題になり「第二のソニー」と業界紙で持ち上げられ、大手各社は手のひらを返したように、こぞってC社詣でを始めます。C社は、一躍大企業から引く手あまたの超優良中小部品メーカーとなりました。しかし、栄華は長くは続きませんでした。

   現在、C社はすでに存在しません。I社との取引開始の数年後、外国企業に身売りし完全にその姿を消したのです。優秀な技術者たちは大手企業はじめ、メーカー各社に引き抜かれていきました。営業部門や事務部門のスタッフの中には、路頭に迷う者も出たと言います。

   なぜC社はそのような末路をたどったのでしょう。米国企業I社の仕事を獲得したC社は、日本の大手メーカー各社の仕事も一気に獲得しました。しかし、テクノロジーの世界の進歩はすさまじく、C社の技術は業界内でかっこうの標的にされ、アジアの有力部品メーカー各社はC社に取って代わろうと自社の技術革新を続け、生産コストに勝る彼らとの闘いに巻き込まれる悲劇がまもなくやってきたのです。

   C社は米国企業I社の仕事が取れた段階で、一気に上がった知名度を武器に国内中堅メーカーなどに積極的な営業活動をして仕事のすそ野を広げておけば良かったのですが、元々の営業力のなさと相次ぐ大手企業からのオファーに油断をしてそれを怠りました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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