就活「解禁」まだまだ迷走の予感 「6月はダメ」なこれだけの理由

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16卒時期変更で勝ち組も長期化

   では、16卒就活がその後どうなったでしょうか。

   実は決まった当初から、企業の採用担当者や大学関係者(それも学長など幹部クラスではなく、キャリアセンター職員など現場担当者クラス)は、「絶対にまずい」と恐れていました。それが、図らずも当たってしまったのです。

   現実になってしまった恐れとは、主に3点あります。

   ・その1:理工系学生が勉強できない、文系学生もしない

   勉強をさせるための時期変更でしたが、「3月・8月」で大弱りだったのが、理工系学生です。卒業研究の準備が4年生7月ごろから始まり、8月から9月にかけては佳境。そんな時期に就活をするわけで、かなり無理がありました。

   では、文系学生は、と言えば、言うほど勉強するようになった、という評価はほとんどありません。

   ・その2:大量の内定辞退が出て、勝ち組も長期化

   中小企業や無名企業を中心に、大量の内定辞退が出る、と言われていました。実際には、中小・無名企業だけでなく、大手企業でも想定以上に内定辞退が出てしまったのです。

   オワハラ、というキーワードが就活では定着。「オワハラでないオワハラ」として、「勝手推薦」なども出てきたことは当連載でも以前に書いた通りです。

   しかも、大手企業の内定が出る時期が遅いこともあって、勝ち組・負け組ともに就活は長期化してしまいました。

   負け組だけでなく、勝ち組の学生も疲れ切ったのは、16卒就活の大きな特徴です。

   ・その3:勘違い学生続出で、2極化さらに進む

   2015卒までの「12月・4月」のとき、広報解禁と就活解禁は額面通り、受け止めることができました。

   広報解禁は説明会開始、選考解禁は選考開始。そして、仮に広報解禁と同時に、就活を本格的に始めたとしても、十分に間に合いました。ま、4年4月に選考が始まる大手企業は厳しかったとしても、5月から6月またはそれ以降に選考を実施する中小・無名企業には間に合っていました。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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