人生の大先輩のひとことが響いた
「こちらこそ、急にご連絡してしまい、すみません」と謝りつつ、筆者が「女性の『銃後の守り』の歴史」に興味があり、ぜひテレビで紹介したいと思っていることを伝えると、K子さんは言いました。
「あなたのような若い女性が、そうやって戦争の歴史に興味を持ってくれるのは本当に嬉しいわ。今の時代、戦争問題にかぎらず、『おかしいな』と思っても、声をあげない、静かな人が多い気がする。私たちお年寄りだってそうよ。男性もそう。だからね、女性がもっと元気にならなきゃいけない気がするの」
70代になる、K子さんは続けます。
「私も老齢の親の介護なんかで、色々大変よ。でも、それに負けて、うじうじしてもダメだと思っているの。あなたも東京で働いて、大変なことがあるでしょうけれど、頑張って、おかしいなと思ったら声をあげるのよ。若い人に、私は期待しているわ」
明るく励ましてくださった、K子さん。思わぬ所でできた、人生の大先輩とのご縁に、なんだかじわじわと力が湧いてきたのでした。政府が掲げる「女性の活躍推進」というスローガンよりも、何よりも、戦後を生きてきた、人生の大先輩の「頑張ってね」というひとことが、筆者には響いたのです。「おかしいと思ったら声をあげる」。前向きに頑張ればいいんだと思えました。働く女性にとっては、もしかして、同僚や先輩だけでなく、年の離れた人生の大先輩と話すことが、時にはエンパワメントになるのかもしれない。筆者はそう思います。(北条かや)