ここ数年、『10年後に食える仕事、食えない仕事』(渡邉正裕、2012年)や、『あと20年でなくなる50の仕事』(水野操、2015年)など、将来の社会全体を見据えたビジネス書が話題になっている。ネットでも、これからは「専門スキル」をもった人材の年収が「どんどん上がる」一方、そうでない人は・・・という記事が、注目されている。
プレジデント・オンラインの記事「これから『どんどん年収が上がる』職種&業種ベスト7」(2015年10月7日配信、5月18日号掲載)では、エン・ジャパンが以前、同社登録の転職コンサルタントに行ったアンケート結果を紹介。「転職後に年収が上がった人が評価された点」として、83%が「専門スキル」と答えたそうだ。リーダーシップ(41%)や業界知識(27%)、人脈(15%)を抑えて、ダントツの1位。
「残業している時間を含めての年収なの?」
「どんどん年収が上がる」仕事、より具体的には、「ITコンサルタント」らしい。主な仕事は、「クライアントの経営戦略に基づいたシステムの企画・提案などの上流工程」。記事では、「ITコンサル会社だと、30歳で年収1000万円、35歳で1500万円、マネジャークラスでは2000万円程度」(コンサル会社役員)との声も紹介した。ほかにも、大規模データを解析し、ビジネスの種をみつける「データサイエンティスト」や、職種では「経営企画・事業企画職」と「マーケティング職」の年収がアップする見込みが高いという。
ツイッターには、記事へのさまざまな反応が飛び交った。
「経営学部の時代来たんじゃないか?(ワクワク)」
といった、記事を受けた期待の声がある一方、
「IT系?もしかして、精神壊すくらい残業している時間を含めての年収か? それなら、高いかもしれないけど、残業なしの手取りで、もう1度調査をしてくれ!」「年収のいいコンサルは死ぬほど働いている」と、『長時間労働』を指摘する声も目立つ。
また、「どんどん年収が上がる保証なんてない。IT企業は5年ごとに求められる技術スキルが変わってくるし、それに順応してレベルアップできる人は伸びるだろうが、今持っている技能スキルのままで年収がずっと上がる事はないと思います」と、予測の難しさを指摘する声もあった。
転職めぐる葛藤
いつのご時世でも、「年収を上げたい」と願うビジネスパーソンは多い。ツイッターをみると、「年収100万上げたい」とか、「今の状態だと年収が低すぎてこの先やってけんぞ・・・転職も視野にいれなきゃな~」という切実なつぶやきや、「友人がさくっと年収300万アップの転職決めてすげえ・・・外資でもヨーロッパ系よりアメリカのが、給与水準が高いんだなぁ」など、具体的なエピソードも見つかった。年収が上がる仕事、というのは、確かに存在するようだ。
転職を検討しているとみられる人は、「零細企業だからこそ難しい問題がある。業績も微妙。肩書きはあっても、年収は減るだろう。ましてや私は異業種。一からやり直しくらいの気持ちでやらないとダメなんだろうな。決心つかず・・・」と、迷いのツイートも。一方で、「転職のたびに大きく年収を落としても、やりたい事、求められるところで働きたい。自分は結果で取り返してきた」という人もいる。
「社会に出て大した努力もせずに勝手に上にあがって、勝手に年収もあがっていく今までが異常だったのだよ」と、覚ったようなつぶやきもあった。(KH)