人口と電力の問題
工場だけではありません。シリコンバレーでは、エンジニアの給与の下限が15万ドル(1800万円)ですが、日本では同じレベルの人材が700万円も出せば雇えます。
日本は、オフショアの拠点として魅力的になってきているのです。
ということで、もしアベノミクスが狙っているのが、円安によるこういうことだとしたら、日本の将来は明るいのでしょうか。再び賃金で競争し、安くて勤勉な労働力で、世界の工場を狙うというなら、面白い発想ですが、あり得なくもないでしょう。
ただし、それでも日本に、単純な組み立ての製造拠点が戻ってくることはないと思います。 理由は2つで、
・人口が足りない
・電力が高い
です。
どちらも致命的。中国の工場では、工員がたりないとなれば、10万人単位で人を増やすことも可能です。日本では、どれだけ採用にがんばっても、10万人の工員を短時間で確保するのは不可能。おまけに、電力が高い。
結局、国内に工場を戻している企業は、「国内の休眠設備の稼働率向上」や「生産ライン効率化のためのモデル拠点として」の回帰にとどまっているようです。(大石哲之)