「解雇の金銭解決」に労組は大反対 それでも私が「導入」期待するワケ

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各国の補償金額算出基準は?

   このような解雇の金銭解決は、欧州各国やオーストラリア、韓国などで既に導入されている。各国における算出基準は以下のようなものだ。


・イギリス:勤続1年につき週給相当額の整理手当支払(22歳~44歳。41歳以上は週給の1.5倍)

・ドイツ:年齢×勤続年数×月給額÷50(もしくは60)+αの補償金支払

・フランス:月給の1/10×勤続年数の解雇手当支払(勤続11年以上の期間は月給の1/15)

・スペイン:勤続1年につき賃金20日分の解雇手当支払

(出典:「解雇及び個別労働関係の紛争処理についての国際比較」。厚労省の依頼を受け、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が実施。2015年6月15日発表)


   ちなみにイタリアでは、今15年3月に金銭解雇を可能にする法律改正をおこなったところ、フィアットなど大手企業を中心に正規雇用が増加。15年上半期の新規正規雇用者数は前年同期比で36%増加し、非正規雇用者数も減少傾向になっているとの統計結果が出ている。

   この金額水準設定次第で、当該制度が「札束で頬を叩いてクビにする手段」となるのか、「不当解雇の抑止力」になるのかが決まることになるだろう。合わせて、不当解雇そのものを防ぐ方法も検討しなくてはいけない。厚労省の判断に期待したい。(新田龍)

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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