「下町ロケット」が熱くする 「経営者はかくあるべし」論議

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   中小企業町工場の奮闘を取り上げたテレビドラマ「下町ロケット」が話題です。大ヒットドラマ「半沢直樹」と同じ池井戸潤氏の原作で、元銀行員という氏の経験を踏まえた視点で描かれる等身大の中小企業経営者の姿は現実味あふれ、その一挙手一投足に興味をそそられます。

   主人公が社長を務める佃製作所は、東京都大田区に本社を置く従業員数十人規模の町工場。しかし技術力は高く、自社が持つ特許技術を使い大手企業帝国重工が手掛けるロケット部品供給を巡って、納品先の大手企業と技術系中小企業の意地とプライドをかけて大手の言いなりにはならない熱い戦いを繰り広げるという物語です。

大企業と中小企業の違い

「ロケット」を機に議論が・・・
「ロケット」を機に議論が・・・

   特に興味をひかれるのは、ドラマ中で描かれる大手企業と中小企業と、その2人の社長を巡る企業文化と経営者のあり方の違いです。

   システマティックな命令系統に従って計画的に前に進む帝国重工と、社長と社員が侃々諤々のやり取りをしながらも徐々に前進する佃製作所。不協和音が聞こえていた佃製作所内で社長の夢を社員が共有できた瞬間に、社内は一体化して大企業に正面から伍して戦える強い体制ができあがった姿が見事に描かれています。

   大手企業は社長を頂点とした厳然たる組織ヒエラルキーが確立され、社長は組織統率の象徴的存在であり社員のモチベーションは評価とそれに伴う地位や報酬のアップによって担保されていく。一方の中小企業は、社長が身近な存在でありつつもリーダーとしての存在感は大きく、その考え方や姿勢ひとつで社員のモチベーションは容易に上下する。この違いは、中小企業経営における大きなヒントであると改めて思わされるところです。

   先日会食した銀行OBのTさんが、「ドラマを見ていると、中小企業はどこも同じだなとつくづく思うよ」と自社の話をはじめました。銀行時代に支店長経験のあるTさんは、50歳を過ぎ取引先企業D社に取締役総務部長として出向。業績不振の壁にぶち当たっている同社の社内活性化に苦悩していました。Tさんが真っ先に問題視したのは、従業員のモチベーションの低さでした。社内に活気がない。それ突き詰めてみると、社員一人ひとりにやる気が感じられないという問題点に行きあたったのでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト