学生がアルバイトによって不利益を被ったり学業に支障を来したりする、いわゆる「ブラックバイト」について、約6割の学生が何らかのトラブルを経験していることが、厚生労働省が初めて実施した実態調査でわかった。2015年11月9日、発表した。
調査は、8~9月にかけてインターネットで実施。週1日3か月以上のアルバイト経験のある18~25歳の大学生・院生、専門学生ら1000人から回答を得た。
法律違反の疑いの案件も
調査によると、延べ1961件のアルバイトのうち、48.2%(人数ベースでは60.5%)で「労働条件で何らかのトラブルがあった」との回答があった。
トラブルには、「採用時の合意以上のシフトを入れられた」が14.8%、「一方的に急な勤務変更を命じられた」が14.6%と勤務シフトに関するものが最も多く、学業に支障をきたしたという。なかには「賃金が支払われなかった(残業分)」(5.3%)や「労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」(8.8%)のように法律違反のおそれがあるものもあった。
労働基準法やその施行規則は、賃金などの労働条件を書面で示して交付するよう使用者に義務付けているが、書面を渡されたのは41.3%。口頭でも具体的な説明がなかったケースは19.1%にのぼった。
対象者が経験した職種は、「コンビニエンスストア」が15.5%、「学習塾」が14.5%、「スーパーマーケット」11.4%、「居酒屋」11.3%となっている。
また、調査では行政機関の相談窓口がほとんど活用されていなかったことも判明。アルバイト先の問題の相談先として、「友人・知人」が32%で最多。一方、「何もしなかった」が10.1%、行政機関などの窓口に相談した割合は1.6%にとどまった。