企業への提供は、法律上義務付けられてはいないが・・・
まず、法律上では、企業に対して、マイナンバーや個人の情報等の流出を防止するために、安全管理措置というものが原則的に義務付けられています。例えば、情報が漏れにくい組織作りや、機器及び電子媒体などのウイルスや事件による盗難等の防止、外部からの不正アクセスの防止などを行っていく必要が有ります。また、企業において、例えば上記で説明した安全管理措置を行う義務に違反しているような場合には、特定個人情報保護委員から勧告や命令を受けることになります。更に、罰則も最近では強化されています。
しかし、企業において対策をしていても、100%マイナンバーや個人情報などの流出が防止できるということはありません。万が一、労働者の方が、企業にマイナンバーを流出されてしまった場合には、不正に使われるおそれがあるとして、マイナンバーを変更したいと行政へ申請することができます。
そしてご相談者さんが気になっていた、企業にマイナンバーを教えないといけないかどうかというお話ですが、労働者が企業に対し、マイナンバーを提供することは法律上義務付けられておりません。
しかし、労働者のマイナンバーは、これまでに説明してきた通り、源泉徴収票を作成する事務作業や労災保険の手続きや申請をする時などで記載が義務付けられているものです。ですので、労働者としては、企業が行政手続きを行う場合に協力をするのが良いのではないかと思います。
労働者としては、企業にマイナンバーを含む個人情報を預ける以上、流出のリスクを負うことになります。事件や事故が起こらないよう予防していくのが一番良いのですが、不幸にも流出されてしまった場合や流出のリスクがあると不安を感じた場合には、弁護士にご相談いただき、不安を解消していくのが良いかと思います。
ポイント2点
●会社は、源泉徴収票を作成する事務作業や労災保険の手続きや申請をする時などに、社員のマイナンバーの記載が義務付けられているので、会社に協力すべき。
●会社にマイナンバーを教えることで、流出のリスクなどが生まれる。自身の会社が信頼のおける会社かチェックし、事故が起こらないように予防する。