私の経営しているカレー屋兼研修プログラム、サムライカレープロジェクト。 このほど、在住欧米人および日本人向けの新メニューとして「バターチキンカレー」を作り、現在提供しています。
日本のカレーはそれなりに好評なのですが、在住欧米人からしてみると、「カレー=インドカレー」の印象が強く、ジャパニーズカレーがでると「?」となることがあるのです。
そこで、思いっきりインド風に振ってみました。
出来が素晴らしかったため・・・
現地在住の料理人にお願いしてレシピを作ってもらい、研修生が複数の候補から製品化するモノを選び、マニュアルを作り、現地人スタッフが作れるように教育をし・・・ということで、無事に製品としてリリースすることができました。
このバターチキンカレーの出来が素晴らしかったため、少しでも多くの人に食べてもらいたい!ということで、ちょうどリリースの時に開催された「プノンペン盆踊り大会」に出店することにしました(ホントは、盆踊り大会にあわせてリリースの日程を決めたのですが・・・)。
この盆踊り大会、主催者には「200食以上用意して下さい」と言われ、昨2014年出店した方からも「4000人くらいくるらしい」と言われ、これはスゴイイベントだということで、協議の結果、バターチキンカレーのみ、280杯作っていきました。
これが、大失敗!
本稿でもなんどか触れていますが、「カンボジア人はカレーが嫌い」
多くのカンボジアの方は、チリや胡椒の辛さは好きなのですが、インドカレーのあのスパイスの匂いが嫌いなんです。
そして、4000人来ると言われていたお客さんの8割以上がカンボジア人。当然カレーは売れません。
これは、完全に準備段階のミスです。
なぜ、こんな空振りをしてしまったのか?
話を聞いたときに、客層を聞いていなかったことはもちろんですが、冷静に考えれば日本人が3000-4000人しか住んでいないカンボジアで4000人も盆踊り大会に日本人が来るわけがありません。
この時点で、お客さんのほとんどがカンボジア人であると気が付かなければなりませんでした。
そして、色々な客層に対応できるように、カンボジア人が大好きなテリヤキチキンなんかも用意していれば、もっと善戦できていたはずです。
実際、今年3月の同様のイベントの時には「周りは日本食でくるから、うちは半分はカンボジア料理を出そう」といってカンボジア風チャーハンや焼きそばを出すことで成功したという体験もあるのです。
なぜ、こんな空振りをしてしまったのか?
新メニュー、バターチキンカレーが予想以上に美味しくできたからです。
このカレーを一人でも多くの人に食べて欲しい。200食のカレーを当日準備して、運搬するためには事前の準備とシミュレーションが必要だ!とその準備にかかりきりになってしまったため、顧客の事などをすっかり忘れてしまったのです。
新カレーへの思いが、この様な冷静な判断を忘れさせてしまった大空振り。
マーケティングの大切さと、商品に惚れることの怖さを学ばせていただきました。
祭り気分でテンションが上がっているときこそ、冷静にならなくてはならない。
サムライカレーに参加している研修生のみんなにも、こんな事を学んでもらえたと思います。是非、社会に出てからは同じ失敗を繰り返さないようにして欲しいと強く思っています。(森山たつを)