ハロー効果で「優秀さ」がさらに上書き
部署を超えてコミュニケーションが取れるリラックスの場といえば、自動販売機や給湯室なども同様です。また、ランチタイムや、社内の部門をまたいだ大きなプロジェクトの打ち上げの場といった、くだけた場面での社員同士の交流によって、「優秀な社員」の噂が都市伝説のように広がることもあります。
実は、「優秀」と言われている人のことを、他部署の人間が本当によく知っているケースは、ごく稀でしかありません。大半は、「優秀なんだろうな」というイメージをなんとなく持っているだけにすぎません。ほとんどの人が、周りの「優秀」という言葉に乗せられてしまっている。「優秀」と言われる人は、良い意味でレッテルを貼られているわけです。「優秀」という印象(人事の世界では「後光」とか「オーラ」とも言います)がその人に染み付いていて、他部署の人間からは無条件で「優秀」と思われてしまうのです。
さらに、「優秀」という前提があると、実際にその人と接した際、例えばメールの対応が迅速だったり、会議での発言が冴えていたり、あるいは挨拶が元気よく爽やかだといった、何気ない行動ひとつで「やっぱりあの人は優秀だ」となります。いわゆる「ハロー効果(ある対象を評価する際、顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が主にポジティブに歪められる現象)」によって、「優秀さ」がさらに上書きされるのです。
ネットがこれだけ普及した時代ではありますが、会社という場においては、人の噂話が口コミによって広がる要素はまだ十分にあります。もちろんメールやLINE、SNSで伝わることもありますが、人の噂話に関しては、やはり記録を残したくないという心情が働くもの。結果として、口コミが主になるのだと思われます。(高城幸司)