「サラリーマンは大変だよねえ、いっぱい取られるから」
以前も書いたが「消費税引き上げ」に反対なのであれば、道は「(毎年1兆円超ずつ増え続ける)社会保障制度の抜本的な見直し」以外にない。ズバリ言えば、費用・サービスの大幅な削減だ。だが、どの政党もそれを主張していない以上、消費税増税を妨げても、政府は他の取りやすい人たちから取り上げるだけの話だ。それが誰なのかを、上記の動きは端的に示している。
最後に、面白い話を一つ紹介しておこう。
筆者がサラリーマン時代、近所の酒屋のオヤジは、筆者が買い物をするたびにこんなことを言っていた。
「サラリーマンはいいよねえ、いっぱい年金とかあるから」
ところが筆者が独立したと知った瞬間、オヤジはこんなことをさらりと言ってのけた。
「サラリーマンは大変だよねえ、いっぱい取られるから」
自分で確定申告する人間はとてもずる賢い。いい加減サラリーマンも、財布に手を突っ込まれそうになったら声を上げる程度には、ずる賢くなってはどうだろうか。(城繁幸)
【*注】グラフについて、給与は賃金構造基本統計調査の現金給与と年間賞与その他より作成。社会保険料については年度の途中で率が変わった場合は新しい率を適用。健康保険については協会けんぽ(東京都)の保険料を使用。なお実際は4~6月の標準報酬月額が保険料の基準に用いられるので、あくまでも目安である。