先日、シャープは全社で定期的に一括して行っていた労使協議について、新たに職場単位の場を設けることで労働組合と合意した(2015年10月20日、日経報道)。各社員にとっては、職場の状況が労使間の協議に反映されやすくなるというメリットがあり、労使関係の一層の安定化に一役買いそうだ。
今時の一般的な労使関係は、安定しているのか、厳しく対立しているのか――ある調査の結果からは、多くの企業側が「安定的」と受け取っているのに対し、労働者の側はそうでもないと感じている、という実態が浮かんできた。
企業側の8割強が「安定的」と認識、一方で・・・
厚生労働省による「(2014年)労使コミュニケーション調査」(15年6月発表)の結果では、全国約3200事業所のうち、86.9%が自社の労使関係について「安定的」と認識している一方、そこで働く労働者約3500人のうち、「良好」と答えたのは55.1%に留まった。30ポイント以上の差があり、企業側と労働者の関係の「良好度」には、認識のズレがあることが浮き彫りになった形だ。
この調査結果について、10月に入って共同通信が紹介すると、社労士や一般の人のツイッターやブログ上で、
「経営者と労働者の認識が一致することはまずありません。しかし、仕事に対する思いを共有することは、簡単ではありませんができると思います」
「使用する側は『総論』で考え、労働する側は『各論』で考えがちなのでしょう」
といった分析が寄せられた。
また、労使の認識のズレは、「片思い」というよりも、「(企業側が)DV夫」と受け止めた方がよい、とする声もあった。
なかには、14年6月末時点で17.5%に過ぎない労働組合の組織率(厚労省「労働組合基礎調査」)の低さを引き合いに出し、企業側の「労使関係が良好」という認識への違和感を表明する人もいた。企業と労働者、そして労働組合という三者が絡み、真に「安定的で良好」な労使関係を構築するのは、簡単ではないことがうかがえる。(AI)