在米シングルマザーが実感 「日系企業の方が福利厚生は良い」

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   米ヤフーのCEO、マリッサ・メイヤー氏が先日、個人ブログで「双子を妊娠した」と発表しました。この「会社ウオッチ」でも取り上げられていましたが、彼女は2012年、第1子の妊娠中にヤフーCEOとなり、出産後は「8週間」しか休まなかったことでも話題になりましたね。

   バリキャリ女性の代表格のような彼女が、短期間で「復帰」することについては、賛否両論が巻き起こりました。そんなメイヤー氏を、アメリカで働く女性は、どう見ているのでしょうか。

日本みたいな保育園は、あっても高額

福利厚生も気になるな
福利厚生も気になるな

   今回インタビューしたのは、アメリカの大学を卒業してすぐ、シングルマザーになった日本人女性(聡子さん、26)です。

「大学後はずっと、(某大手サービス業で)パートタイム。子どもが小さいから、正直『普通のアメリカ企業』で、正社員採用はしてもらえないと思います。日本みたいな保育園も、私の周りにはないし、あっても高額だし・・・」という聡子さん。彼女が今、面接を受けているのは、日本企業のアメリカ支社です。「福利厚生が良さそうだし、長く働けそうだから」。

   現在は米国人のパートナーもいる彼女ですが、アメリカの企業では、子どもの存在が、採用の障壁になると考えているようです。もちろん日本でも、子育て中の女性の就職が厳しいのは事実ですが、それでも聡子さんは、「日系企業の方が、福利厚生が良い、長く働けそう」と言っている。よほど、アメリカの母親たちをめぐる現状は厳しいのでしょう。

   米国は、国家として「(有給の)育休・産休制度」を保証していません。ほとんどの企業には、日本のような「法律で定めた産休・育休制度」はなく、福利厚生の充実度は、会社によって大きなバラつきがあります。「男性も女性も、出産しようがしまいが関係なく、結果は残してね」という感じでしょうか。

「ヤフーのCEOみたいなケースは、お金がないと無理」

   冒頭の女性は、「ヤフーのCEOみたいなケースは、お金がないと無理」と、明言していました。

「アメリカでは、私みたいなシングルマザーへの(社会的な)差別は感じないですよ。そもそも、離婚している人が多いし、再婚も当たり前だから。ただ、子どもを育てながら育児って、本当に厳しいんです。保育園みたいなものはあるけど、月謝が高すぎて、パートタイマーの私には、ちょっと・・・。メイヤー氏はベビーシッターを雇ったり、色んな人に手伝ってもらったりできるだろうから、別世界ですよね」(聡子さん)

   確かに、アメリカでは、日本より「ベビーシッター制度」が普及しています。日本でいう保育園のような、ナーサリースクールもある。ただ、いずれも価格はそれなりに高額です。そこに、お金をかけられないとなると・・・育児と仕事の両立は、かなり厳しいものになるでしょう。

   聡子さんは、パートタイマーとして働いている間、知人宅に子どもを預けています。「できれば主婦になりたい」とさえ、言っていました。なんだか、日本で働く女性からも聞いたことがあるようなセリフです。

   「アメリカで、子持ちの私が正社員として安定して働き続けることは、厳しいと思う」という聡子さんからすれば、「メイヤーさんは別世界」だそうです。やはり、そうか・・・。先立つものがないと、育児と仕事の両立は難しい。一方、お金や環境に恵まれた立場の女性たちは、両立を叶え、バリバリ仕事をしていく。そんなアメリカは、ある意味「究極の男女平等、競争社会」なのだろうなぁと、複雑な思いで、聡子さんへのSkypeインタビューを終えたのでした。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
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